研究ノートの構成

 表紙






研究ノートのテーマ


はじめに



I. 活性水素   

(1)水素のカプセル化
(2) 活性水素説
(3) 活性水素説の実証
(4) 白金ナノ粒子
(5) 活性水素の生成
(6) 活性物質の生成
(7) 活性水素の観察

 
II. 水素分子   
                       
(8) 水素分子はシグナル
(9) 水素レセプター 説
(10) 水素レセプターはどこにあるのか
(11) 体内臓器の水素濃度
(12) 水素の濃度と効果の関係 

                                                           
スキャン0001

III. 生理作用

(13) 遺伝子プロファイル 
(14) 酸化ストレスを下げる
(15) 電解水透析の酸化ストレス低減効果


VI .  電解水素水のインスリン様活性

(16) 電解水素水のインスリン様活性               
(17) 細胞試験
(18) 動物試験
(19) 電解水素水と水素水はちがう
(20) インスリン分泌を伴わない経路   


V.  なぜインスリン分泌を刺激するのか

(21) 水素原子は基質
(22) NADは生物触媒か


参考文献リスト   


            白金

はじめに

このブログは電解水素水を水素水と比較しながらその本質を明らかにしようとする試みです。学術文献は両者併せて200を超えましたが、水素の根本的分子機構は解明されておらず、まだまだ謎が多いというのが一線にいる研究者の実感のようです。とは言え、確実に解明は進んでおり、ブログでも紹介していきます。

まず、電気水素水の活性物質である活性水素の生成について触れます。水の電気分解によって陰極に水素原子が生成され、すぐに2個が結合して水素分子になります。同時に陰極表面から白金ナノ粒子が溶出します。白金ナノ粒子には触媒作用があり、水素分子を活性水素(水素原子)に変えて吸蔵する性質があります。活性水素は活性酸素を除去するので生活習慣病など酸化ストレス関連の病気に効果があるのではないかと推測されます。これが所謂「活性水素説」で、九州大学の白畑教授によって1997年に発表されました。
 
「活性水素説」のルーツは1932年にノーベル化学賞を受賞したラングミュアの論文にあるようです。この論文は湿った環境で水素ガスをタングステン・フィラメントで熱すると水素(H2)が活性水素(H)に変換されて安定的に存在するというものでした。白畑教授はこの論文からヒントを得て、水の電気分解においても電極板表面に生成される活性水素は電解水中に安定的に存在するのではないかという着想を得たと述べています。

その後、白畑教授の研究グループは電極板から溶出した電解水中の白金の実測に成功し、白金に吸蔵された活性水素が糖尿病動物モデルの酸化ストレスを軽減し、インスリン分泌を刺激して血糖値を下げることを報告しました。活性水素説は実証されたように思えます。電解水素水による動物モデルの酸化ストレス抑制とインスリン分泌は海外の研究グループでも確認されています。

さらに、白畑グループは最近では「活性水素説」を発展させ、水道水中のミネラルイオンが電気分解によってナノ粒子化し、水素を吸蔵するという新説を提唱しました。水道水に含まれるミネラルのナノ粒子も原子状水素(活性水素やヒドリドイオン)の生成触媒であり、キャリアであるという考えです。この理論は原子状水素の生成ベースを拡げるとともに、水の電気分解は電極板表面で生成する水素をカプセル化する技術という新たな視点を提供するものです。 


水素原子写真

 
水素のカプセル化は水素を高活性の水素エネルギーに変換し、効率よく体内の標的部位(酸化ストレス部位、ミトコンドリアなど)に到達させるものです。白畑教授と同じくラングミュアにヒントを得て原子状水素をカプセル化したサプリメントを開発したのが米国のP.フラガナン博士です。まだ効果がj十分実証されているとは言えませんが、ORPが示す還元力は非常に強くかつ持続性があり、注目しています。
  

水素分子はどうでしょうか。2007年に日本医大の大田教授のグループが、活性酸素の中でもヒドロキシラジカル(・OH)だけをスカベンジ(除去)するという「ラジカルスカベンジ説」を提唱して以来、水素分子は理想的な抗酸化剤と考えられてきました。 しかし、名古屋大の大野教授の研究グループからは、水素分子は抗酸化剤というよりはシグナルとしての機能が重要だという考えが提唱されています。シグナル分子はドアをノックするだけという考えで、ノックの音に反応したシグナルの伝達因子が音を増幅しながら細胞内に伝え、生理作用となって表れるというものです。同研究グループは水素分子は酸化ストレスあるいは・OHとは無関係な疾患も改善することを報告し、これらの現象はラジカルスカベンジ説では説明できないことを指摘しました。最近では水素分子のレセプターの部位に関する研究も報告されています。しかしヒトの腸管で毎日大量に発生する水素ガスがどのような作用をしているのか不明で、現段階ではシグナル分子説が有力になっていますが、すべてを説明できているわけではありません。

電解水素水はインスリンを分泌します。何故でしょうか。実はインスリン分泌が電解水素水を水素水とは異にする特徴と考え、本研究ノートの副題は「電解水素水と水素水はちがう!」にしました。電解水素水に含まれる原子状水素がインスリン分泌を刺激すると考えたからです。インスリンを分泌したのは酸化ストレスが除去されたからという意見もありますが、それでは何故、水素分子しか入ってない水素水はインスリン分泌を刺激しないのかが説明できません。水素水が酸化ストレスを軽減する報告は数多くあるからです。  
 
最近、DNAマイクロアレイ分析により電解水素水を摂取したマウス肝組織の遺伝子プロファイルが明らかになり、1200以上の遺伝子発現が同時に影響されていたことが報告されました。酸化還元関連ばかりでなく、様々な代謝関連の遺伝子も含まれていました。このことは電解水素水の作用がまだ知られていないものも含めて多くの可能性を有していることを示しています。

水素学会の創設者で日本ミトコンドリア学会会長でもある日本医大の太田教授から本研究ノートに関して全般的にコメントをいただきました。いくつかの点で考えは異なりましたが、それらは「大田教授のコメント」と「大田教授のコメントに対する意見」として紹介させていただきました。太田教授には深く感謝申し上げます。 
                           

                                          堀       仁  

(1)水素のカプセル化

水素のカプセル化
水素分子(H2)は常温では不活性な物質です。摂取してもすぐに大部分は体外に抜けてしまいます。しかし水素をカプセル化することで高活性の水素エネルギー(原子状水素)が効率的に体内で吸収できるようになっています。

ナノ技術の進歩などにより、触媒・非触媒のタンパク質、抗体、抗原、核酸、微生物、動植物細胞など生物剤のカプセル化が可能になっています。シリカ(SiO2/Cu-Zn)による抗酸化物SODのカプセル化も成功し、水素のカプセル化はこの流れのひとつの到達点です。米国でサプリメントとして製品化されていますが、日本でも水の電気分解も水素のカプセル化だという理論が最近提唱され、注目されます。

マイナス水素イオン
高活性エネルギーの原子状水素には電子1個の水素原子(H)と電子2個のマイナス水素イオン(H-)があります。電子を持たない水素イオン(H+)は原子状水素に含まれません。マイナス水素イオンはヒドリドイオンとも呼ばれ、細胞内のミトコンドリアで食物由来の糖基質から脱水素酵素の働きで生成されます。抗酸化性を持つとともに、電子供与体として生物エネルギーATPをつくるのに利用されています。

マイナス水素イオンの生成
1927年、ラングミュアはタングステン・フィラメントでH‐プラズマをつくり、湿った空気の中ではH‐イオンが安定して存在することを発見しました(1932年ノーベル化学賞受賞)。

ラングミュア 
図はマイナス水素イオン生成装置です。水素ガスを発生させ(A)、蒸留水に通し(B)、水素ガスと水蒸気を有機シリカでできた反応基(C)に誘導します。タングステン・フィラメントで熱せられた水素はHになり、さらにフィラメントの光電効果によって1電子がHに供与されてH-のプラズマになります。H-は有機シリカの壁に付着し、反応基の中はしだいにH-で充満します。ラングミュアは実験機器の有機シリカのガラス管壁にH‐が付着し、そのガラス管からH‐が放出されると記録しています。


メガハイドレート
ラングミュアの発見をベースに、マイナス水素イオンをカプセル化したサプリメントが10年前に米国で開発されました。現在「メガハイドレート」という商標で販売されています。米国FDAも「メガハイドレート」を抗酸化物を豊富に含むサプリメントと理解しているようです(
http://www.megahydrate.com/)。

 kurasuta-.jpgメガハイドレート

「メガハイドレート」は左側の写真のように直径2μメートルほどのクラスター状になっています。右側はシリカ(SiO2)のカゴ構造にマイナス水素イオン(H‐)が入っているイメージで、直径は1−3ナノメートルです。クラスターは体内に摂取されるとばらけていきます。体内で物質と接触してH-が放出されます(参文3−32)。

sirika.jpg
電解水素水も水素カプセル
白畑教授(九大)もラングミュアの論文を読んで、「活性水素ミネラルナノ粒子還元水説」につながる着想を得たと告白しています(参文1−3)。この説は水の電気分解によって電極板表面で生成される水素を、同時に電極板表面で生成されるミネラルナノ粒子が吸蔵する(カプセル化する)というものです。「メガハイドレート」を開発したフラナガン博士と発想の原点が同じなのです。電解水素水も「メガハイドレート」も高活性水素エネルギーの原子状水素をカプセル化して体内の酸化ストレス部位やミトコンドリアなどの標的部位に効率よく到達させることが可能な点で、水素水より優れています。前述したように水素分子は不活性で、大部分は体外に抜けてしまうからです。

(2)活性水素説

  電解水イメージ 
(カーボンナノホーンは実際の電解水素水には入っていません。ニュートン2007より)

電解水素水
のイメージ
青い浮遊物が水素分子、白金ナノ粒子上の青い粒が活性水素(H・)です。白金触媒は水素分子(H2)を2つのH・に分解します。H・とH・の間が少し離れているのがお判りでしょうか。電解水素水はH・を保持する白金ナノ粒子と水素分子が均一に分散した水溶液です。

活性水素説
イメージは白畑教授(九大)の活性水素説に基いています水を電気分解すると白金電極板から白金ナノ粒子が溶出し、同時に陰極表面で水素イオン(H+)が電子をもらって水素原子(H)になり、2個が結合して水素分子になります。白金ナノ粒子は水素分子を活性水素に変えて吸着・吸蔵します。活性水素説については活性水素は安定した存在ではないとか、白金が溶出したとしてもごく微量で問題にならないといった反論があります。しかし最近、電極板から溶出した白金の実測値とその生理効果、電解水から水素ラジカル(活性水素)がESR検出されたことが機能水学会(2011)で報告されました。さらに現在、活性水素説を発展させ、活性水素生成のベースを白金以外のミネラル金属にも拡げた「活性水素ミネラルナノ粒子還元水説」が提唱されています。因みに水素原子は活性が高いので活性水素とか、あるいは不対電子なので水素ラジカル(H・)と云われます(参文2−18)。

水素原子と水素分子の生理作用
これまで電解水素水や水素水の報告は主として抗酸化作用に関するものでした。しかし水素分子が酸化ストレスとは関係ない疾患も改善することが報告されて以来、水素分子は抗酸化剤というよりはシグナルとしての機能が重要と考えられています。また電解水素水中の水素原子もミトコンドリアのエネルギー代謝機能を刺激して生物エネルギーと言われるATPの合成を促進することが明らかになっています。

水素原子が撮影された!
実際に金属に吸蔵された水素が撮影されています。写真はバナジウムに吸蔵された水素原子です。水素原子が撮影されたのは世界で初めてです。水素分子は微小なので、様々な金属原子のすきまに容易に入り込みます。そして金属の触媒作用によって原子状水素の状態で保持されます。富士山の地下水はバナジウムを多く含むので、バナジウムがこのような状態で水素を保持し、水素のキャリアになっている可能性があります。撮影に成功した幾原教授(東大)によれば、走査透過電子顕微鏡による水素原子の撮影は金属原子と水素原子が規則的に並んでいる場合にのみ可能で、写真のバナジウム水素化物は規則的に並ぶようにつくられたものです。 
    
                       (朝日新聞 2010.11)
    水素原子の写真   

                         

▼大田教授のコメント:
 
(水素水として体内に摂取された水素分子は)触媒や酵素のなかでは、反応中間体としてあらゆる原子状態を取り得ます。体内で作用する段階では原子状水素(活性水素やヒドリド状態)が生じるのは当然だと思っています」、「「例えば、水素分子がヘム金属のFe3+と反応して、Fe2+にすることがあるとして、その場合は局所的瞬間的に見れば、H2 + Fe3+ →H- + H+ +Fe3+ →HFe2+ + H+ となります」、透析などでは白金ナノパーティクルが入っていた方が効果はあるかもしれない」。

▲大田教授のコメントに対する意見:
 太田教授の考えは基本的に活性水素説と変わらず、電解水素水のイメージと通じます。水素分子を原子状水素に分解する酵素はヒト体内に存在しないので、体内の金属触媒が水素分子から原子状水素を生成していることになります。化学式は、水素分子が実際はヒドリドイオン(H‐)として反応していることを示します。◆電解水透析の場合は、体内では水素分子が(金属)触媒によって活性水素になっているのは当然と考えておられることと併せると、白金の存在とその生理作用を認めている点で明確に活性水素説を認めています。              

(3)活性水素説の実証

電極板から白金が溶出する
水の電気分解によって白金はどの程度溶出するのでしょうか。最近、一定の電解条件下で4.47μg/L(マイクログラム)が検出されたという報告が白畑教授の研究グループからありました。1μgは100万分の1グラム(ppbレベル)でごく微量ですが、白金の溶出が確認されたことは電解水素水中に活性水素が安定的に存在することを意味します。白金触媒は水素分子を活性水素に変えるからです。注目されるのはこのような微量であっても、糖尿病マウスのインスリンを有意に分泌する生理効果があったことです(後述)。活性水素説を裏付けるものだと思います(参文2−18

電子顕微鏡写真
白金が
溶出する電極板の写真があります。電気負荷をかける前と後の電極板が比較されています。電極板(陰極)の断面写真は、電極板に仕込まれた白金ナノ粒子が負荷後は大きな塊になって突起しているところです。電極板の表面写真は、負荷前は均一に存在していた白金ナノ粒子が負荷後は不均一になっており、白金の塊が剥離したことを示します。
水の電気分解でも電気負荷をかけると、電極板表面の白金が同じように剥離することが知られています(東レリサーチセンターHPより。    
 

電極板写真 




電解水素水はインスリンを分泌する
写真は薬剤処理による参加ストレスでインスリンが分泌されなくなった1型糖尿病モデルマウスです。インスリン不足で血糖が細胞に吸収されないので痩せています。このマウスに電解水素水を摂取させるとインスリンが分泌するようになって血糖値が低下したという報告がありました。同報告は電解水素水がインスリンを分泌する膵β細胞を酸化ストレスから保護したからと結論しています。しかし酸化ストレスだけが要因なら水素水もインスリンを分泌するはずです。しかし糖尿病動物モデルを使った試験で水素はインスリンを分泌しませんでした(後述)。なので、電解水素水中の活性水素がインスリン分泌を刺激するのだと思います(参文2−18)。

一型糖尿病マウス 


              

▼大田教授のコメント: ◆「電極の使用後には電極の形状が少し変わるでしょうし、また金属メッキと同じことですから、水の中に入っている金属イオンが析出して、電極を覆ってしまいます。何回か使うと表面がでこぼこになり、表面積の大きさはかわってきます」、「電気分解によって白金電極から湧出する白金は非常に微量であり、いつも同じ量が湧出されるとは限らない」、◆「もし、まじめに電解水の効果の原因が水素吸蔵白金ナノコロイドだと思うのなら、電解水など使わないで、水素吸蔵白金ナノコロイドを使えばいいのにと思います。何故、電解水にこだわるのかが、よく分からん」、「電気分解して水素を発生させたでは、どうしていけないのかが理解できない点です」。

▲大田教授のコメントに対する意見 :
 
水道水の電解は鉄(Fe)、マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca)などの金属触媒も豊富に生成するので「微量」ではありません。太田教授は電解水は活性物質を定量できず何が効いているのか分からないからダメだといいますが、研究者の怠慢です。

プロフィール

Author: 堀   仁
米国大学大学院卒(MBA)
外資系金融機関を経て電解水関係の企業へ。
独立し、現在に至る。

最新記事